佐藤 好久教授

教授

佐藤 好久

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情報工学における次世代技術創造の基盤となる数学とその応用

私の研究対象は「数学」と情報工学分野(情報セキュリティ、応用トポロジー)への現代数学の応用です。

微分位相幾何学と代数幾何学
 我々の棲んでいる宇宙は、位置を表す3つの座標と時間を表す座標を必要とする4次元の空間(時空間)であると考えられます。宇宙の何処にいても4つの座標で表されることでしょう(宇宙の果てまで旅をしたことはありませんが。)。ところで、我々の4次元宇宙はどんな形をしているのでしょうか?
 何処も同じように4つの座標で表されるような空間を、数学では「4次元多様体」と呼びます。4次元多様体の微分構造を込めた位相構造を研究する分野が4次元微分位相幾何学です。4次元微分位相幾何学は理論物理学と密接な関係があり、場の量子論(素粒子物理学)で重要なYang-Mills方程式の解空間を取り扱うゲージ理論やモノポール方程式の解空間を取り扱うSeiberg-Witten理論など、4次元微分位相幾何学でも重要な理論がたくさんあります。複素数を係数とする多変数高次代数方程式系の解全体が作る図形を研究する分野が複素代数幾何学です。symplectic構造をもつ4次元多様体について、そのfibration構造に注目しながら、ゲージ理論やSeiberg-Witten理論を利用して、symplectic トポロジー的観点と複素代数幾何学的観点から4次元多様体を研究しています。

 研究室では、代数幾何学を応用した暗号理論と応用トポロジーを中心に研究しています。

暗号理論
 我々の周りには様々な情報が飛び交っています。情報へのアクセス権をもつ者だけが、その情報にアクセスできる状態を確保しなければなりません( 機密性)。情報の破壊や改竄を防がなければなりません(完全性)。また、アクセス権をもつ者が、いつでも必要な時にアクセスできる状態が確保されなければなりません(可用性)。このような情報セキュリティを支える技術理論の1つが暗号理論です。より安全な暗号化・復号化のシステム構築や暗号プロトコルに対する攻撃方法の理論的研究を行います。RSA暗号や楕円曲線暗号は現在普及している主な公開鍵暗号方式であり、初等整数論や有限体上の代数幾何学といった数学が基盤となっています。

楕円曲線における加法演算⨁
楕円曲線における加法演算⨁

応用トポロジー
 位相幾何学(トポロジー)をロボットの経路運動計画(ロボット工学)やセンサーネットワーク、タンパク質のような高分子化合物の立体構造解析に応用します。
 FA化された工場や倉庫などでは、物資運搬などのために定められた軌道上を複数台の非自律移動型ロボットが移動しています。これらのロボットは自己回避機能が備わっていないので、互いに衝突させることなく目的地へ移動させる計画を立てなければなりません。複数台のロボットの位置をすべて考えてできる集合を1つの位相空間(配置空間)と考え、その配置空間の位相幾何学的量により経路計画を立てる研究をしています。
 パーシステントホモロジー群という位相幾何学の道具を使って、センサーネットワークや高分子化合物の立体構造解析の研究をすることもできます。

Y字型経路の2台のロボット
Y字型経路の2台のロボット
Y字経路のロボットの配置空間
Y字経路のロボットの配置空間

研究室紹介

 佐藤研究室では、学生は暗号理論の研究グループと応用トポロジーの研究グループに分かれて研究します。基礎知識として、位相幾何学や代数学、代数幾何学などの数学が必要となるので、研究室配属された最初のころは数学の基礎知識を主に学びます。その後、自分の研究したい分野を定めて、それぞれの研究テーマを研究します。研究室の雰囲気は明るく活動的です。天気の良い日などには、全員で硬式テニスをして遊んだりしています。

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