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大量データに駆動される知識発見とモノづくり

徳永研究室ではベイズ統計や機械学習の先進的応用によって、世の中の実問題をデータサイエンスの立場から解決することを目指しています。具体的には、次の3つの問題について取り組んでいます。

バイオイメージインフォマティクス
生物のライブイメージング技術の急速な進歩により、生体内で進行する細胞や分子のダイナミクスが、高解像•リアルタイムで計測可能となってきました。それにともない、生物学や医療の現場では、日々大規模なバイオイメージングデータが生成され、潜在的なビッグデータが形成されつつあります。このように日々生成される生物画像を定量的に解析することは、生体ダイナミクスを理解し生命活動の本質に迫る上で強力なドライビングフォースになると予想されます。また、医療現場においては画像処理に基づく正確かつ迅速な医療診断を可能にし、創薬分野では迅速な薬効評価による効率的なドラック•デザインを可能にすると期待されます。このような状況の中、大規模•多様なバイオイメージデータから有用な情報を定量化する技術:バイオイメージインフォマティクス(Bio-Image Informatics)に脚光が集まっています。当研究室では、ベイズ統計や機械学習を応用した生物画像処理技術を開発し、これらの問題解決に貢献していきます。

図1.マルコフ確率場を用いた多細胞自動トラッキング
図1.マルコフ確率場を用いた多細胞自動トラッキング

データ駆動型の新たなモノづくりの提案
3Dプリンタに代表されるRP(Rapid Prototyping)技術の進歩により、従来は造形困難だった複雑な形状の部品が容易に製造可能となりつつあります。それにより、モノづくりの現場に産業革命以来の大きな変化が起きることが期待されています。一方で、複雑な形状の部品が造形可能となったとしても、それだけでイノベーションが加速するとは限りません。イノベーションの創出には、意外性やある種の奇抜さを取り込みつつ、求めたい性質を実現させるパスを見出す作業が要求されます。しかしながらそのプロセスは、職人的スキルや経験、膨大な試行錯誤に依存してしまいがちです。これは、現代のモノづくりが抱える本質的課題と言って良いでしょう。直感や経験、既存のパーツなどを自然に取り込んで何かの全体像を推論することは、ベイズ統計が威力を発揮する分野の一つです。本研究室では、ベイズ統計のアイディアに基づき、「ありそうでなかった面白いデザイン」を自動生成する研究に取り組んでいます。

図2.影を拘束条件として生成した街路樹の3Dモデル
図2.影を拘束条件として生成した街路樹の3Dモデル
図3.上から見ると”K”に見える木の形状を3Dプリンタで出力したもの
図3.上から見ると”K”に見える木の形状を3Dプリンタで出力したもの

防災・減災への貢献
2011年3月に発生した東日本大震災以降、陸域・海域における地殻変動の監視体制が強化されつつあります。これらの地球科学的データに基づきプレート境界付近のひずみの蓄積・解放を正しく見積もることができれば、中長期的な地震予測の精度が向上することが期待されます。しかしながら、これらの観測データには、降雨や気圧変動といった気象擾乱や、潮汐や波浪といった海洋変動など、地殻変動とは直接関係のない変動成分も重畳しています。これら地殻変動とそれ以外の変動成分を、時空間構造に着目して上手く分離する時空間フィルタの開発に取り組んでいます。

徳永 研究室

徳永研究室
当研究室では、統計学・機械学習・最適化数理などの広範な知識を駆使し、世の中の実問題に対してデータサイエンスの立場から切り込める人材の育成を目指しています。特に、1.データサイエンスで斬新なアプリケーションを創出できる人材の育成、2. 複雑なテーマに負けない底力を持つ人材の育成、の2つをコアな教育目標としています。そのために、プログラミングはもちろんですが、ホワイトボードでじっくりアイディアを議論する時間を重要視しています。