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高性能永久磁石を利用した磁気浮上輸送システム

 磁気浮上技術に基づく輸送システムは非接触で物を運べることから超高速鉄道等に利用されています。たとえば、世界初の商業用リニアモータカーとして2002年に上海で営業を開始したトランスラピッド(最高速度430km/h)や建設予定のJR東海のリニアモータカー(最高速度581km/h)などが例として挙げられます。浮上の原動力は、前者が常伝導電磁石の吸引力、後者が超伝導電磁石の吸引・反発力です。本研究は、これらの超高速輸送の流れをさらに発展させるために、高性能永久磁石(最大エネルギー積400kJ/m3、残留磁束密度1.4T程度の性能を有するNd-Fe-B系焼結磁石)の反発力を浮上の原動力として利用する磁気浮上輸送システムを提案するものです。現在、自動車への応用を念頭に置いた浮上走行システムの概念設計を行っています。研究対象の車は、基本的に、バッテリーをエネルギー源とする電気自動車であり、一般道路は車輪走行、高速道路は浮上走行、が前提です。その目標とする性能は、浮上走行時の最高速度:500km/h(車輪走行時の最高速度:125km/h)、1充電あたりの走行距離:500kmです。

ときにはやさしく、ときには力強いロボットを目指して

人間のように柔らかな動作ができるロボット
一般的なロボットにおいて人間の筋肉にあたるものは、モータとギアになります。しかも減速比がとても大きなギアを使います。このような装置を用いると、ロボットの関節はとても硬くなってしまいます。この硬さが原因で、ロボットは跳んだり走ったりといった衝撃力を伴う動作がとても苦手です。壊れてしまうことさえあります。
ロボットとは異なり、人間は作業内容に応じて筋肉を緊張させたり弛緩させたりして、関節の硬さを変えることができます。そうすることで、衝撃力を吸収したり、柔軟な動作を実現したりしています。
私はこのような特徴を持つ人間の腕を参考にして、柔らかな動作ができるロボットの腕を実現することを目指して研究しています。今後は、ロボットが人間社会に進出してくるでしょう。そのとき、ガチガチの腕で作業していると、人にぶつかったときに大けがをさせてしまうかもしれません。柔らかな動作で作業するロボットであれば安心でしょう。

振動現象を利用して大きな力を生み出すロボット
関節が柔らかなロボットの腕は、その柔らかさをうまく利用してやると、効率的に大きな力を生み出すことができる可能性があります。
風の影響で、できたばかりの橋が壊れてしまう映像(*)を見たことはないでしょうか?設計の段階では、そのとき吹いていた風ぐらいの強さでは壊れるはずはありませんでした。原因は、橋の構造が起因して橋が「共振」という振動状態になってしまったことでした。共振状態になれば、それほど強くない風でも、大きな橋を壊してしまうことができます。
柔らかさを利用して大きな力を効率よく発生させる方法は、この共振という現象を利用します。柔らかなロボットの腕を非線形振動子と呼ばれるものを用いて振動させ、共振状態にすることで大きな力を生み出すのです。
皆さん一度は草抜きをしたことがあると思いますが、根が地中深くまで張っているため、抜くのが大変な草はなかったでしょうか?共振を利用するロボットであれば、そのような草も楽々抜いてしまうかもしれません。
(*) 「tacoma bridge」で検索すれば映像が見つかります。

これらの他にも、自分自身で行動を学習していくロボットの実現を目指して研究しています。

人の腕の構造を模したロボットアーム
人の腕の構造を模したロボットアーム
人型ロボット
人型ロボット
力作業を行うロボット
力作業を行うロボット

自律して行動できるロボットの研究と開発

ロボットに対して知的もしくは高度な作業を行わせることを目標に研究を進めています。人間にとっては当たり前にできることであっても、ロボットにとっては非常に困難な作業はたくさんあります。人間にとって当たり前な空間でロボットが活動するためには、たとえば障害物を障害として認識してそれを避けて動作を行ったり、あるいは発生した障害に対して適切な回復行動を行ったりする必要があります。こうした問題に対して、有益な手法を開発・提案していくことを研究の主目的にしています。
現在の研究テーマには、小型ヒューマノイドロボットを想定した2足歩行に関する研究、産業用ロボットアームを用いた障害物回避を含む経路計画に関する研究、 車輪で移動するロボットの位置制御に関する研究があります。今後、画像認識技術を取り入れた研究にも積極的に取り組んでいく予定です。
小型の2足歩行ロボットに対しては、転倒せずに歩くことのできる動作計画を数値計算によって高速に求めるための手法を研究しています。これまで、(i)歩くことが期待できる動作を設計する方法と、(ii)得られた候補となる動作を解析し修正を行う手法を構成しました。これらの2つを組み合わせることで実際にロボットを歩かせる研究を行っています。実験装置として、ヴィストン社製の Robovie-M と研究室で新しく設計・製作したロボットを使っています。また、ロボットの全身動作についても研究を進めています。
ロボットアームに対しては、多自由度な空間での経路探索問題を研究しています。少ない時間で障害物を避ける軌道を計算するために、アーム全体を内包する多数の球体を用いて、 長方形で構成した障害物との間で効率的な干渉チェックを行っています。特に、乱数規範に基づく探索木生成法である RRT(Rapidly exploring Random Trees)という手法を利用して軌道生成を行っています。結果は OpenGL によるシミュレータによって検証しています。計算時間のさらなる短縮を目指して、環境データの構造や探索アルゴリズムなどの研究を進めています。
レーザーレンジファインダの情報を用いて、地図を生成しながら移動するロボットについても研究を行っています。また、地図情報が与えられた場合に、障害物との接触を避けながら目標状態へ向かう経路を生成する研究を行っています。自動車の自動車庫入れなどを応用例として研究を進めています。

小型の2足歩行ロボット ロボットアーム

小林 研究室

学生の自主性を尊重しつつ、定期的な打ち合わせによって進捗状況を確認しながら研究を進めてもらっています。ロボットの製作などでは作業を分担しながら互いに協力して進めています。もちろん、コンパを開いて研究室内の親睦を深めることも行っています。

3次元形状モデルに基づく物体認識

コンピュータに人間の視覚機能を実現しようとする研究領域(コンピュータビジョン)に関心があり、特に、対象物の3次元形状を表現したモデル(形状モデル)を用いて、物体を認識する問題に取り組んでいます。これをモデルベース物体認識と言います。この処理過程の概念図を図1に示します。
人間の視覚が両目で奥行きを知覚できる(両眼立体視)ように、工学的にこの原理を利用すれば、カメラから対象物までの距離を画素値としてもつ距離画像(レンジデータ)が取得できます。しかしながら、こうして得られた3次元情報は、単純な3次元点群にすぎないので、このままでは形状はわかりません。そこで、形状モデリングによって物体を3次元形状モデルで表現し、これを通して対象物を認識しようとするのが本研究の目的です。
さて、この実現にはいくつか解決しなければならない問題があり、まず、対象物体をどれくらい精密なモデルで表現するかが考えられます。例えば、リンゴを対象とした場合、人間ならば、形が少し変形していても、かじられていても、その形だけをみてリンゴと認識できます。しかし、コンピュータではモデルを精密に作れば作るほど、そのような変形に対応しづらくなります。そのため、本研究では単純に高精度のモデルを作るのではなくモデルの記述精度を適材適所で変更可能な多重解像度形状モデリング手法を開発し、その応用を目指しています(図2)。また、複雑な形をした物体がいくつも置かれた状況下でレンジデータを取得した場合、どのように分割してモデリングを行うかといった問題が生じます。そのため、レンジデータを類似した形状を持つ領域ごとに分割するセグメンテーション手法の開発も行っています。
一方、このような処理過程で物体認識を実現するには、既にデータベースに登録されているモデルと新たに観測された距離画像から構成したモデルとの照合を実現する必要があります(図1)。このとき、直接モデル同士を照合するのは非効率であるし、上述のように少しの変形で物体認識に失敗する可能性が出てきます。そこで、このような照合を効率的に実現するための手法を開発しています。

図1 モデルベース物体認識の処理過程
図1 モデルベース物体認識の処理過程
図2 多重解像度形状モデリングによる特徴点検出例
図2 多重解像度形状モデリングによる特徴点検出例

制御系開発プロセスのコンピュータによる総合的支援

制御とは、対象とする物(またはシステム)を自分の思うように操ることです。例えば、ロボットの二足歩行制御、超高層ビルのアクティブ制振制御、ロケットの軌道制御、などが挙げられます。多くの場合、コンピュータがシステムを制御するコントローラの役割を果たします。制御する対象は様々ですが、望み通りの制御システムを開発するプロセス(手順)は、ほぼ一貫していて、制御対象の特性を的確に表わすモデル(表現)を得るモデリング、制御対象の特性を調べる解析、仕様(求められる性能)を満たすコントローラの設計、制御システムの性能を評価するシミュレーション、ハードウェアによる実装という作業が繰り返されます。
近年、制御対象が複雑化し、システムへの要求が高度化する中で、製品納期の短縮が求められており、制御系の開発プロセスを効率化するための支援が求められています。当研究室では、最新のコンピュータ・ハードウェアの機能、先進的なソフトウェアの開発手法、そして高度な制御理論や数学を組み合わせることで、制御システムの開発プロセスを総合的に支援する研究を行っています。具体的な研究テーマを次に示します。

制御系CAD
制御系の開発プロセス(モデリング、解析、設計、シミュレーション、可視化、リアルタイム制御)を支援するCAD(Computer Aided Design)を開発しています。

科学技術計算基盤
プログラミング言語(MaTX)、一般化数値計算ライブラリ、数式認識ツール、並列処理フレームワーク、高精度数値計算ライブラリを開発しています。

数値計算に基づく制御系設計理論
精度保証付き数値計算に基づく制御系設計、高精度数値計算に基づく制御系設計、数値最適化に基づく制御系設計に関する研究をしています。

制御系のモデリング・シミュレーション・プラットホーム
制御系のモデリングシュミレーション・プラットホーム
システム制御学習支援システム
システム制御学習支援システム
グラフのインタラクティブ修正支援ツール
グラフのインタラクティブ修正支援ツール

古賀 研究室

古賀 研究室 研究室の一日は、毎朝10:00のコーヒーブレイクから始まります。特別な理由が無い限り、研究室の全員が参加して、コーヒー等のノンアルコールの飲み物を飲みながら、研究に関係する話や関係しない話をします。これは情報交換や人間関係形成の場となっています。

各人の研究においてソフトウェア開発は重要な部分を占めています。4年生の後期になると、先輩達が引き継いできたソフトウェアの開発プロジェクトを任せられます。プロジェクトを成功させるには、他のプロジェクトの担当者(先輩、同期、後輩)とのコミュニケーションが大切です。

各人の研究環境として、一人一台のコンピュータと二台のディスプレイによるデュアル・ディスプレイ環境が準備されています。ほぼ2年毎にコンピュータのCPUとマザーボードの交換を行っています。ハードウェアの交換、OSやソフトウェアのインストール作業は各人で行います。これは、自分の研究環境は自分で設定できること、という方針に基づいています。

人工・自然物なんでも動きをデザイン(解明から、修正、創造まで)

「動きをデザインする (制御基礎論とその応用)」の研究をしています。数学や物理的な理論を使って、人工機器から自然・生命、ナノレベルの超微小から大規模・巨大な様々な物を動かす技(省エネ、高出力、高速、精密、協調、自律など)を社会に提供しています。対象例は、ハードディスク、情報通信ネットワーク、携帯電話、下水処理施設、体内時計、細胞遺伝子ネットワーク、自動車・航空機技術などがあります。世界・宇宙は止まっていません。自然は生きてます。生物は活動し、そのような人が編み出す人工物は動く・変化する・造る機能で人間社会を豊かにしています。周りはすべてダイナミック、それが万物の命です。世の中に実在するものは、CGなどの仮想世界のようには勝手に動いたり変化しません。思ったように動かせなかったり、工夫が必要だったりします。物理法則があるのです。一見、不自由な制限のように感じますが、そんなことはありません。例えば、形にはどんなものがあるでしょう?-、○、□、△だけでしょうか?いや、沢山どころか無限あるから楽しいのです。カンバス寸法という制限はあっても、-、○、□、△だけで絵は描きませんね。動きも同じなのです。何でも限界はありますが、それでも無限の可能性があります。物や自然ってどう動くのでしょう?どう動かせばよいのでしょう?画一的な動きや、簡単に想像できる変化では出来ないことがいっぱいです。物の素質を見抜き、それに技(動き・変化)をバランスさせると可能性が無限に広がります。一つの図形を書いても鑑賞に値しませんし、つまりません。いろいろなものが組み合わさって調和した絵は楽しく、描くのには才能が必要です。動きも同じです。一つの独立単純動作は無用です。動いているものと動いているものが組み合って相互作用するのが万物です。だから面白く楽しいのです。動きのデザインは、出来なかった(気がつかなかった)ことを可能にしたり、電気電子機器や機械の省エネや精密性、環境保全、新医療技術や治療法へもつながります。

シミュレーション 携帯電話と基地局 細胞内タンパク質のダイナミクス

伊藤 研究室

台車システムの設計・制作・実験 基礎論研究なので「物」を限定しないのが特徴です。常に国際的最先端のテーマをキーワードにして、生き生き元気に研究するのが目標です。通信ネットワークや生命システムのダイナミクスにも力を入れているのは、他の研究室にない特徴でしょう。制御基礎論への道は1年から4年に続く科目群としてカリキュラムにしっかり用意されています。研究室では授業で学んだことの復習や活用を通して、システム制御分野の力がきちんと身につきます。役に立つ数学のコツをつかむ人もいます。本研究室では頭で考えた通りにうまくいくかシミュレーションで頻繁に検証しますが、matlab/simulinkというエンジニア世界の標準となっているソフトウエアを多用しますので、社会での実践力をつけることも出来ます。

計算制御論の開発と自動車安全センサーシステムプロジェクト

計算制御論の開発
当研究室では、システム制御理論の研究を行っています。システム制御とは、対象となる“もの(システム)”を設計者の望むように効率よく動かし運用する(すなわち制御する)方法を研究する分野です。実際の“もの”は、自動車や飛行機であったり、鉄鋼プラントや化学プラントであったりしますが、当研究室では、それらに共通して適用することができる制御方法を開発する研究しています。特に、近年のコンピュータの高い計算能力を利用した新しい方法論の開発を“計算制御論”として研究しています。

自動車制御への応用
現在の自動車には数十個から百個を越える小さなコンピュータが搭載されていますが、それらのコンピュータが自動車の各箇所を制御しています。自動車に最も重要なエンジンの制御やサスペンションの制御など、自動車にとってシステム制御は欠かすことのできない技術の一つです。当研究室では、約10年前から自動車会社と共同研究を行い、自動車における様々な制御の開発を行ってきました。その成果としては、AT(オートマティックトランスミッション)の制御、電動アクティブスタビライザーの制御などがあり、それらが搭載された自動車は現在も販売されています。

自動車安全センサーシステムプロジェクト
さらに、当研究室では、他の研究室と共同して“自動車安全センサーシステムプロジェクト”を立ち上げました。歩行者や自転車を交通事故から守るためには、アクティブセーフティという予防安全の概念が重要となっています。本プロジェクトでは、これを実現するために、車載カメラを用いた画像処理技術を中心としてシステム制御などの様々な個別技術を統合し、交通事故削減のための新しい予防安全システムを創成させることを目指しています。

オプティカルフローによる人や自動車の動き検出
オプティカルフローによる人や自動車の動き検出
オプティカルフローによる人や自動車の動き検出
オプティカルフローによる人や自動車の動き検出

延山 研究室

延山研究室では、システム制御グループと安全センサーシステムグループの2グループに分かれて研究を行っています。前者はシステム制御と理論とその応用の研究、後者は画像処理を中心とした予防安全システムの研究を行っています。研究室で行うことは、新しい手法の開発や高速64ビットマシンを使ったシステム開発などです。研究室に配属された学生は、システム制御と画像処理の両方を勉強した上で、どちらのグループで研究するかを決めます。本研究室の学生は、情報関連会社や電気会社など様々な企業に就職していますが、近年は自動車関連の企業に就職する学生が増えています。

あたらしい光の創成を目指して ―光の散乱が開く新たな応用―

光の散乱現象を利用した、レーザー光源や物体識別、計測などの研究を行っています。

ランダムレーザーの基礎研究
レーザーは広がらず直線的に飛ぶ単色の光を出しますが、この性質から壁などの物にあたるとスペックルパターンと呼ばれる斑点模様のノイズが出てしまいます。この問題を解決するため、ランダムレーザーという新しい光源が研究されています。これは非常に明るく単色に近い光を出しますが、スペックルができにくい性質を持っています。このことから、ビデオプロジェクターや顕微鏡の光源、ディスプレイやそのバックライトへの応用が考えられています。ランダムレーザーはまだ解決すべき課題が多く、実用化に向けての基礎研究を行っています。

レーザースペックルによる物体識別
クレジットカードや紙などにレーザー光を照射すると、光はそれらの表面・内部で散乱を受けた後、出射します。その結果、先に述べたスペックルパターンが生じます。このスペックルパターンは照射した物体に固有のもので、「光の指紋」とも呼べるものです。同じスペックルを発生させるには、ミクロな表面形状や物体内部の屈折率分布を全く同じものにしなければならないので、偽造は事実上不可能です。そのため、スペックルを認証キーとして用いれば、機密文書等に強固なセキュリティを持たせることが可能です。このスペックルの時間的強度ゆらぎをキーとして、物体を識別する研究を行っています。

微粒子粉体からの光散乱現象の解析
近年、化粧品等の用途にナノ粒子などのさまざまな粉体が利用されるようになってきています。しかし、新開発された微粒子の構造は複雑で、従来の理論式ではその光学特性を求めることができません。そこで、時間領域差分法(FDTD)やモンテカルロシミュレーションにより、それらの光散乱特性を求める研究を行っています。この結果を新規粉体微粒子の開発に役立てます。

スペックルパターン
スペックルパターン
ランダムレーザーの実験
ランダムレーザーの実験

岡本 研究室

岡本 研究室 岡本研究室は「光と形」をメインテーマとし、光が新たな構造の中でどのようにふるまうかを調べ、それを光素子や各種手法として提案することを行っています。そのため、理論・シミュレーションから実験にわたる広範なテーマが揃っています。実験ではさまざまなレーザーを研究テーマに応じて使い分けます。また、光のシミュレーションも大きな研究テーマのひとつであるため、計算機環境も徐々に充実させています。研究室の生活では自立を重んじ、自由な雰囲気を大切にしています。

光の応用は幅広く、これから大きく発展する分野です。すでに国内電子産業の4割は光産業が占めており、「光が分かる技術者」の需要はこれからますます増えていくでしょう。この研究室では、このような時代の要請に合った技術を身につけることができます。

生体信号処理にもとづく人間の内部状態推定

睡眠解析システムの開発
睡眠は、健康や生活の質に強く影響を及ぼす基本的な生命現象です。しかし近年、日本人の睡眠は不規則な夜型の生活に移行してきたことで極端に悪化しており、睡眠障害が社会問題となっています。本研究室では、脳波、筋電位、眼球運動、心電位等の生体情報を、波形形状認識法やウェーブレット解析法、モデルベース解析法等を利用して解析し、睡眠状態をより詳細に抽出できる手法の開発を行うとともに、睡眠の質を定量的に計測できる手法の開発を行っています。
(写真1:上段・Stage REM時の信号、下段・一晩の睡眠遷移図)

ブレインコンピュータインターフェースの開発
人間が、対象を認識したり、手足を動かそうとする時、脳波が変動します。この現象を利用して、実際に動作せずに考えるだけでシステムを操作できるシステムを構築することが可能となります。このようなインターフェースは、ブレインコンピュータインターフェース(BCI)といわれ、ハンディキャップユーザのための入力装置として、現在注目を浴びています。本研究室では、より使いやすく安全なBCIシステムの構築を目指して研究を行っています。具体的には、モデルベース解析法、独立成分分析法、多重解像度解析手法等を利用し、視覚認識時や動作想像時の脳波変動を解析・検出できる手法の開発を行い、システムの実現をはかっています。
(写真2:本研究室で開発したAIBO操作システムの実験風景)

写真1:上段・Stage REM時の信号、下段・一晩の睡眠遷移図
写真1:上段・Stage REM時の信号、下段・一晩の睡眠遷移図
写真2:本研究室で開発したAIBO操作システムの実験風景
写真2:本研究室で開発したAIBO操作システムの実験風景

井上 研究室

本研究室では、睡眠解析グループ、BCIグループ、手法開発グループ等に分かれて研究を行っていますが、終夜睡眠実験やBCIの実験の時は、グループにとらわれず、全員協力して実験を行っています。また、雰囲気は穏やかで、学科開催の研究室対抗ソフトボール大会へ参加したり、研究室主催のゼミ旅行、歓迎会、送別会等を行ったりして、研究以外でもまとまっています。

非加法的集合関数 関数空間・数列空間の特徴づけ バナッハ空間の不等式

非加法的集合関数の研究

世の中には加法的(つまり1+1=2)にはならない事柄が数多く存在します。例えばハンサムで優しい彼はハンサムなだけ、優しいだけの彼よりぐんと評価が高くなります。測度や集合関数の加法性を外すとどのような性質が成り立つのかを調べています。例えば、非加法的なより一般的な集合関数にも適応できるようにシャノンエントロピーを拡張し、その一意性を示しました。また、最近は応用面にも力を入れています。非加法的集合関数が消費者の商品選択プロセスの分析や画像認識に本当に役立つのかどうか、人間の主観を合理的にモデル化できるのかどうか、わくわくしながら学生達と研究しています。

関数空間・数列空間の特徴づけ

関数や数列からなる空間を決定するための必要条件や十分条件、必要十分条件を追究しています。空間を特徴づけるための新しい問題設定を考え、代表的な数列空間である lp 空間をはじめ、Orlicz 空間やZygmund 空間の特徴を調べています。

 その他、ある種の二項演算の特徴づけやバナッハ空間の確率不等式の研究も行っています。